1月は行事が特に多い月です。日本に住んでいた昔の人達にとって、
1年間の農耕の始まりの時で、田畑を守ってくださる歳神さまをむかえたり、
そなえものをするなどの大事な行事がある月です。
日本の行事やならわしの内、今回は初夢についてのお話です。
初夢で未来を占った起源や、初詣で引いたおみくじが占いでない理由、
行事に込められた人々の思いや考えも明らかにして、
昔の人達がもっていた力や知恵や心を総動員して、
生活を支えようとしたことを、ここで知っていただきたいと思います。
初夢っていつ見る夢のことなのか?期間とかいうのはあるのか?
実は昔と今とでは初夢を見る日に違いがあります。
昔から今の流れで説明していくと、
【大昔】
12月31日大晦日の夕方から1月1日元日の朝まで、
寝ないで神社などにこもって、歳神さまをむかえました。
そのため、新年初めて寝るのは1月1日の夜から2日の朝にかけてとなり、
その時にみる夢を「初夢」と言いました。
【むかし】
江戸時代になると、元日は休みで、1月2日から普通の生活となるので、
1月2日の夜から3日の朝にみる夢のことをいうようになりました。
【近頃】
大昔やむかしとは違い、新年になって初めてみる1月1日の夜明けの夢を、
一般的に「初夢」と言っています。
初夢って時代によって変化しているんですね。
そして夢が脳の働きによるものだと知らなかった昔の人達は、
夢のよしあしで、未来を占いました。
初夢で縁起がよい『一富士 二鷹 三茄子』には六まで続きがある!
良い夢を見るために、宝船の絵を描いた紙を枕の下に入れて寝るなわらしが、
室町時代から広まりました。
江戸時代には、七福神が乗った船に回文(普通に読んでも、逆から読んでも同じに読める文)をそえた宝船の絵を売り歩く「宝売」が現れたました。「悪い夢を見たくなければ、この絵を川に流せばいい夢がみれるよ」と売り歩く者が出現したのです。
良い初夢の順番として、『一富士 二鷹 三茄子』と言われますが、
これは徳川家康が駿河(現在の静岡)にいた頃、
たかい順番で、富士山、次に愛鷹山(あしたかやま)、
「なす」は、その頃値段が高かった茄子のことです。
3番目が茄子というところが面白いですよね。そしてこれには続きがあります。
「四奥義、五煙草、六座頭」で、座頭というのは、琵琶湖法師のことです。
ちなみに、七福神が乗った船の回文は、
永き世の 遠の眠りの皆目覚め 波乗り船の音の良きかな
(ながきよの とおのねぶりのみなめざめ なみのりぶねのおとのよきかな)
そのほかに、悪い夢を食べてくれる獏(ばくは、中国から日本へ伝わった伝説の生物。人の夢を喰って生きると言われる)を描いた紙を枕の下に入れて寝るおまじないもあります。
夢には、寝る前にした話や見たものが出やすいそうです。
楽しい話をしておくと、嬉しい夢が見られるかもしれません。
七福神の宝船と回文や獏を描いた絵などのおまじないで来年こそは良い初夢を!
初夢と初詣で引いたおみくじの占い、信じるのはどっち?
正月と言えば初詣。そこで引くおみくじに書かれていたメッセージと、
初夢はどちらを信じるべきなのか?
あなたはそのように思ったことはありませんか?
ここで非常に大切なことをお伝えしますが、
おみくじは占いとは違います。なぜか?それはおみくじとは、
あなたから受けた願いや質問に対する神様からのメッセージだからです。
おみくじのポイントとしては、自分が投げかけたことに対する答え、「今の自分に必要なことを教えてください」と願った後の答えが書かれているということ。大事なのは吉凶ではなく、メッセージの部分です。
しかし、そのメッセージは抽象的に書かれていることが多いです。
おみくじを引いた段階では、メッセージの意味が分からないことが多いです。
ですから、意味が分からなかった場合、神社にくくり付けるのではなく、
持ち帰って繰り返し読みます。
手帳や部屋の壁など普段目につく所に貼っておきましょう。
スマホで写真を撮る人がいますが、
その後忘れて見ることがなくなってしまうことが多いのであまりおすすめしません。
当たり前のことですが、
おみくじを引くタイミングは神様にお祈りをした後に引くものです。
また、引き方が大事です。
「神様、今の自分にとって必要なメッセージを私にください」と願って引くこと。
神様が直接あなたにお話になることはないですよね?
神様からの声を受けとる、それがおみくじなのです。
続いて初夢、夢占いについてですが、
夢の内容を色のイメージで占う方法についてご紹介します。
夢占いは、自分の潜在意識、未来に起こる現象だったり、
無意識からのメッセージで自分の過去から引きずっている悩みを夢でみることです。
・黄金、黄色のイメージ・・・金運の前触れ
・赤のイメージ・・・情熱
・青のイメージ・・・仕事に対する繁栄、発展
・緑のイメージ・・・癒やし、なごみ
・白のイメージ・・・健康、病気を癒やす
・黒のイメージ・・・怪我、事故、病気
良い夢であれば問題ありませんが、
悪い夢をみた場合は未来からの警告と考えられ、その後の行動が大切になります。
・生活習慣を改める
・調子に乗らない
・自分自身を戒める
自分のよくないところを改めて行くことが重要です。
まとめ
日本の行事や、神社仏閣などは今もなお続く素晴らしいものです。
それが始まった背景、ストーリーを紐解いていくと、
昔の人達が幸せな毎日を過ごせるように、
大切な人が幸せになれますようにといった願いが感じられますよね。
昔の人達がもっていた力や知恵や精神性を学び、
次に伝え、過去から未来へと時空を超えた大切なものにしていきましょう。